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大内伸哉

· 神戸大学大学院法学研究科教授

Full speech

○参考人(大内伸哉君) 時間がないところなので、ちょっと焦点を絞って、じゃ、さっきの話との関わりでいくと、例えば非正社員の働き方というのがいろいろ問題はあるという多分御認識かと思うんですね。確かにそうなんだけれども、なぜ非正社員がいるかということを考えると、正社員と非正社員という分業制を日本型雇用システムはある意味取っていたわけです、今日の話、分業の話もしましたけれども。それはある種効率的であったからこれは続いてきたわけですね。  もう少し言うと、正社員の安定雇用は、例えば、いいかどうかはともかく、パートの奥さん、そして学生やバイトの、学生の子供を支える意味もあったと、正社員の安定雇用が。その代わり、パートやアルバイトの賃金とかは低いとかという、家族みんなで見たら、トータルでバランスが取れていたと。だから、正社員に一生懸命保障するというのはそういう意味で合理的で、その分、しかし、正社員の雇用を安定させるためには景気の変動の調整弁が必要だから、それはパートとかアルバイトが担うと、こういう構造だったんです。  これがだんだん崩れてきたのが二〇〇〇年代以降なのかなという気がします。確かに非正社員とか問題なんだけど、じゃ、それを改善するときに、まあ安倍政権のときにもやったのは非正社員という言葉をなくすとか、この辺の政策は皆さん多分支持したのかもしれないんだけれども、それって今の分業をぶっ壊すことで、日本型雇用システム自身、正社員の安定とかも本当は壊すという意味もあったわけですね。これがうまくいったのかと。いっていないですね。例えば、その正社員と非正社員の賃金の不合理な格差は禁止するって法律が労契法に入っているんですよ。でも、これを使ってどれだけ改善しましたかということです。幾つか裁判では勝った、非正社員勝った例もありますけれども、なかなか改善しない。これは、やっぱり無理なことをやっているんだと。じゃ、どうしたらいいのか。  端的に言うと、生活保障だと思います、非正社員の。貧困があるなら、その貧困に着目したことです。だから、最低賃金は、ある意味でその貧困対策ですね、長くなって済みません、貧困対策なんだけれども、やっぱりみんな、アルバイトの人にも、あるいは富裕な人がちょっとお小遣い稼ぎでやるアルバイトにも適用されちゃうわけですよ、最低賃金というのは労働者全部ですから。  だから、それじゃなくて、本当に世帯単位とか、シングルマザーの家庭とか、そういうところの困っている人にピンポイントでお金が行くような福祉的な政策でやるべきであって、最低賃金とか、正社員と非正社員の賃金格差の是正とか、そっちは私は間違った処方箋じゃないかなと。これ大変、私の意見、評判悪いんですけれども、本当にそう、だって、実際改善は余りしていないでしょうということがちょっと言いたかったことであります。  いろいろ言いたいことあるんですけれども、取りあえずこれぐらいにとどめます。

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